文章 進本 正浩 幸せは ささやかなるをもって 極上とす (小沢昭一の言葉)
最近のお気に入りの映画に、「ALWAYS三丁目の夕日」がある。東京タワーができる頃の話だ。父が開業したのは昭和37年、私が2才の時、先輩の病院を引き継いだのだが、この病院、明治時代の古い病院だった。小さい私には、おばけ屋敷のようなところがいくつかあったが、2階にのぼる階段下に収納があり、いたずらをすると罰にこの部屋に入れられた。あの漆黒の闇は今も忘れない。 ALWAYSの後編では、薬師丸ひろ子扮するおかあさんの、出産後の病室シーンがある。映画の中で、8ミリ映像として登場する病院は、あの古い病院を思い出させてくれるのだ。 あれから46年が過ぎている。昭和44年に新病院になり、その古い病院はなくなった。日本中のどこもかしこもきれいになり、生活も豊かになったが、人の気質も変化した。ALWAYSをみた後に感じる 「あの頃は良かった」感はなんだろう。いつまでも暖かい医療を提供していきたい。 おおよそ1日一人の出産に立ちあい、その重さを感じながらも、そんな母子の映像をみるにつけ、我ながら素敵な仕事についたと、父に感謝している。 年男になった今年、行橋に帰って15年が過ぎた。15年間無事故でこれたのは、両親・家族をはじめ とする私を守ってくれている人達のカ、また神や仏のカと感謝します。次の15年も、無事に医療を提供できればと、気持ちを新たにする年です。 (平成20年みやこ医師会雑誌より) |